詩集「落ち葉の詩」

 

「 地球は回る 」



壊れる理想 築く時間が在れば
ボクは眠っていよう
何も正しくない 何も当てはまらない
答えは、温もり失くした太陽

このままここで埋葬されよう
灰となって 土となって
回り続けてゆく
地球の一部となって

いつか覚えた悪戯 罪創りの空白
罰を受けては繰り返す
誰も悪くない ボクは空を見つめるだけ
痛みは、置き忘れた昨日の夢

このままここで埋葬されよう
愛となって 詩となって
繋いでゆく
糸の一部となって

地球は回る 悲しみを残したまま
地球は回る 時間が止まるまで 


 

「 回転体の中で 」



小さな回転体の中で
時間を止めてしまいたいと思い始めている
そして、深く考えてみる
何も見えなくていい
それが醜い現実ならば
目を閉じて想像だけしていればいい
ありのままの自分の姿に白い翼をつけ
拡げてゆけばいい
それが「夢」だと思えても

手で触れられるモノだけでは
形成されていない 小さな回転体
この小さな回転体は
自分の力だけで動かしている
歩く日も、休む日も
動けなくなるまで回し続けてゆく
この景色も、この時間さえも

静かに眠りたくても眠れない歳月がある
大切な想いに浸れる長い季節もある
すべてが素敵に思えたら
すべてが儚く思えたら
眠ろう 何も恐れずに
眠ろう 目覚めたら 

小さな回転体の中で小さく身をひそめ
希望を胸に抱き
眠ろう 子供に戻って
眠ろう 目覚めたら 


 

「 この部屋で 」



覚えのない指の傷
なぞっては見つめて
終わりのない過去の涙
思い出し 呟く

長い夢を見ていた
この部屋で・・・


 

「 小さな予感 」



浮かんでは
いつも消えていったけど
ゆっくりとまた舞い降りて来る
白い羽根のように輝いて
手には掴めないけど

細く長く続く道の途中
突然 何も見えなくなって
ただ立ち尽くした時

 優しさを頬に感じて・・・
 愛しさを胸に感じて・・・

また歩いて行ける


 

「 はだしのままで 」



少しだけ寒い空の下 はだしのままで
見つめている 拡がる空白
まだ目覚めない想い
太陽を待つ 鳥たちのように

悪い夢ばかり 手のひらの上には
優しい色にも触れられない
見たことはないけど

強い心 手に入れたい
風向きは変えられないけど
小さな痛み 堪えないで
安らぎを胸に眠りに着けるまで
いつまでも迷って・・・

温かい土の香りの中 はだしのままで
感じている 消えてゆく時間
もう眠りに着いた
悲しい詩 鳥たちが歌う

理由がないからいつまでもここにいる
歩き出したい
だけど離れられない
理由がないから はだしのままで


 

「 白い雪の季節 」



真っ白な灯りを放ち
寂し気に彩る枯れ葉たちに降りて
優しく包み込む
雪の季節

小さな祈りだけど
この僕の心にもどうか舞い降りて
優しく微笑む
思い出のように

同じ季節を何度も巡り
手にしたものは
捨てられない想いだけ?
迷い始めた頃のあの景色が
ずっと、今も・・・

足跡は残さないと決めたのに

落とす涙だけが
君の温もりを覚えているけど
もうずっと時間が流れていたんだね
気が着けばまた
白い雪の季節


 

「 君の純粋 」



優しさ囁く冷たい風の中で
見つけたものは
必要の無い小さな感情 
たったひとつだけ
胸に抱きしめ
ただ立ち尽くす

深い闇に包まれても
いつまでも君を待ち続ける

真っ白に強く輝く
太陽よりも鮮やかで優しくて
傷ついたこの翼さえも
純粋なものに塗り替えてくれる

すべてを忘れさせて

闇から光へ 何も恐くない


 

「 切なる想い 」



冷たい爪先ふたつ重ね 温もり作り
孤独に浸っては
永遠と云う言葉 つぶやいてみる

夜が終わり朝が始まる
これから眠る僕と
これから目覚める君
すれ違う事さえない日々の中で
時間だけが通り過ぎてゆく

僕が壊れても消えない想い
悪い夢の中でさえも・・・

切なる想い 胸に抱いて君を描けば
僕は鳥になって
白い羽根 ひとつ落とす

離れてゆく 記憶も恋心さえも
だから今日をこのまま
終わらせたくない

切なる想い 胸に抱いて君を描けば
僕は詩になって
この空を舞い
降りよう 君の夢へ


 

「 僕の中の混沌 〜前編〜 」



そこは何もない ただの空白だった
ちょっとした小さな風の衝突で
それは、はじまった
この宇宙のはじまりと同じように

僕の頭の中は何の違和感もなく
様々なものが色を変え
形を変えてゆくけど
迷っているのか
ただそこに在りたいだけなのか
僕の中の混沌
それは理想 それは狂気

目の前に見えている
ひらひらと揺れ落ちる白い羽根は
本当に存在するものなのか
それとも意識の裏側のものなのだろうか
解らない 僕は何を思えばいい
僕の中の混沌
それは願い それは破滅


 

「 浮かぶ小舟 」



夢に浮かぶ小舟 強く揺らして
沈めてしまっても
構わないから・・・

君の横顔 君の後ろ姿
いくつも心に浮かんでは
時間と共に色が薄れてゆく
悲しい思い出だけが
優しく僕を包み込んでいる

「 離さないでいて 」

後悔に沈む小舟
眠りの中にも、安らぎはない


 

「 夕陽に染められて 」



夕陽に染められた汚れのないものは
灯りのように優しくて
足を引きずるボクの痛み
少しだけ消してくれていた

君が云ってた言葉の半分は
今もずっとここにあるの?

思い出に抱かれながら
眠るように樹々に想いつぶやいて
答えがないのなら
このまま冷たい夜の闇の中へ

君がくれた宝物の半分は
まだボクを覚えているの?

夕陽に染められても
ボクはこのボクのまま変わらない
消せない温かな想い
君に捧げている


 

「 白い鳥 」



暗闇で眠るようになった僕は
小さな物音ひとつで夢から覚めて
そっと目を開けば
まだ知らない景色の中

青空の下、草原で眠っていた頃は
風がすべての安らぎをくれたけど
果てのない空に君の笑顔を浮かべては
眠れない夜を覚えていた

繋がらない運命は少しずつ終わる
枯れてしまう想い
どこに残せばいいのだろう

空を飛ぶ白い鳥の影に僕は消されて
堕ちてゆく
何もない空白の中に
理想は拡がってゆくけど
僕はただ小さな存在

描く詩だけが君に届くように
白い鳥に乗せて


 

「 悲しみの詩人 」



この先、僕はどう生きればいい
途切れた妄想 止まらない涙
心の轍に足を取られ
それでも歩み続けて
泥だらけの服に泣きっ面
救いなんてどこにもない

だけど僕はひとつだけ持っていた
唯一の宝物 「小さな光」

誰にも汚させない
怒りの中でも 悲しみの中でも
輝き放ち続ける 「詩人」
僕の想いのすべて
今は、泣いてばかりいるけれど

詩を描き 悲しみを消せる
ひとときの安らぎ
詩を重ね 築いてゆく
心の平和な場所


 

「 永遠 」



まだ肌寒い でも昨日よりは暖かい
あの頃よりも騒がしいけど
ボクはもう少しだけ ここにいたい
太陽が沈み 帰り道を消してしまうまで

無臭の風と懐かしいほころび
古い絵画のように
止まったままの景色は動きはじめる
静かな羽撃き 空気を切り裂く無数の翼
失くした白い羽根の代わりに
手にした半分だけの枯れ葉

永遠はまるで無のように思う
だってボクは欲しくないから
温もりだけ 少しだけなら痛みさえも
胸に抱きしめながら 灰になって
漂う・・・


見えないモノに脅えたくないから
壊れる時計は捨てて行こう

永遠はまるで無のように思う
迷うだけの永遠なら
ボクは止めてしまいたい
永遠はまるで無のようにここにある
だから漂う 永遠に


 

「 詩人の血 」



残す言葉もなく過ぎ去るだけの明日
まるでハリボテだらけの世界
裏側は見えないからすべてが嘘のようで
影の中 うつむいては眠るだけ

耳障りな鳥たちの泣き声
風の唄は聴こえない
映るのは白と黒で描いた誰かの景色
手に在るのは苦痛だけ
昨日を憐れむだけ
無を祈る気持ちも分かる気がする

だけど、 時間の流れは鮮やかで
ボクはいくつも詩を描く
同じ喜びを感じられないキミのために
ボクはいつまでもここにいよう

強く在りたい
ボクの中に流れる「詩人の血」
すべてを美しく塗り変えていきたい
だけど・・・ 強くなれない
ボクの中に目覚めた「最後の詩人」
詩だけでも美しくここに残したい
せめて・・・

止まらない
ボクの中から溢れる「詩人の血」
眠れない
ボクの中に存在する「最後の詩人」


 

「 穏やかな日に 」



穏やかな日に逝けたらいいな

青い風 緑の木々
風は揺れてるボクにだけ吹いて
どこまでも歩いて行けそうなほど
何もない 穏やかな日

やわらかな陽に心見すかされ
何も持っていないことに
また気がついた

このままこの先へ進んでみても
何もなさそうだし
止まってもいいのかな

黒い影 赤い情熱
眠りの中へ逃げ込んでみても
温もりはもう感じられない
何もない 空しい日々

それでもここに在り続ける
穏やかなボクのこころ


 

「 救いを 」



汚れのない美しい魂よ
救いを下さい
他に何も望まない
ただそばにいて欲しくて

記憶は少しずつ色を失くし
涙の跡のように消えてゆく
戻ることのない 空白をかたどる

枯れ落ちてゆく
最後の葉

眠りの中でさえも悲しみに満ちていて
時間にしがみつくけど
何を見つめていいのか分からない
何を信じていいのか分からない

汚れのない美しい魂よ
救いを下さい
触れられなくてもいい
ひとりでいたくない

生まれた意味も
生きてゆく意味も
知りたかったけどもうどうでもいい

汚れのない美しい魂よ
傷ついたこの僕に
救いと云う名の「やすらぎ」を与えて下さい

この空の下で生きている
本当は誰でも分かり合えれば
自然に「愛」は生まれて来る
枯れることなく


 

「 誓い 」



他の人からは幸せには
見えないかもしれない
でも僕は幸せなんだ
僕には、この「詩」がある

自分にしか気がつけない喜びや
自分にしか気がつけない悲しみ
何よりも自分にしか持てない
この『世界』を持った

僕の中から生まれてきた詩たちと
僕の中から生まれてくる詩たちは
枯れ葉のように積もり積もり
やがて大きな樹を育てるだろう

無駄な詩はひとつもない
ひとつひとつが僕を成長させてゆく

僕は一本の大きな樹になろう
決して折れたくない
この世の中でしっかりと根を張り
立ち続ける
立ち向かい続ける

涙を流すよりも詩を描こう
強くある為に
強くなる為に


 

「 優しい詩(未完成 )」



穏やかな日に逝けたらいいな
同じ痛みを感じよう
さぁ手を取り合って

見えなかったものが見えてくる

同じ世界にある生命
同じ小さな存在
痛みを感じ合えたら
ずっと楽になれるのに

伝えたい想いはどこにある?
そこに座っているだけ?
心は何の為にある?
あなたはどこを向いているの?

悲しいのなら
詩にして伝えればいい
生きたいのなら
ただ立ち向かえばいい